想定問答集

このページでは、当院の獣医療従事者が考える「動物病院に関する想定問答」を紹介しています。

獣医療従事者個人の見解に基づくものであり、例外・異論もあることをご理解下さい。

基本編

「〇〇動物病院」と「〇〇ペットクリニック」病院名の違いは?

個人で開業(開院)する際に、病院長となる獣医師が(ある程度)自由に決めることができます。

主に好きな言葉や院長の姓名・病院のある地域名、対象動物などを入れた名前が一般的です。

一般の動物病院・ペットクリニックは、対象を絞り込む以外どちらも基本的に「同じ診療体制」です。

決して「動物病院の方が漢字だからペットクリニックより上」ということはありません

同じ手術や治療でも料金の違いがあるのはナゼですか?

動物病院・ペットクリニック(以下、動物病院)は、法律的にも「料金を自由に設定して良い」ことになっています。

日本の獣医業は「学術研究,専門・技術サービス業」に分類され、人の医療(保険)制度とは全く関係ありません

しかし、治療や手術など医療行為の費用は、命への責任や平等性など「倫理観」が問われるため、個別に割引などをしないのが常識です。

自由だからと言って「無節操な値引き」をしたり「料金設定があいまい」「明細がいい加減な」動物病院は、後々問題になるかもしれません

動物病院にも「眼科」や「皮膚科」とかがあるんですか?

一般的な動物病院では「専門科」を病院名に付けたり、診療内容を限定しておりません。

獣医師の得意分野や院内担当などには違いがありますが、基本的に「対象動物のすべての科目」に対応します(全科診療)。

動物の場合は「食事や環境」にも健康上の影響を受けやすいため、幅広い視野で診断していく技量が求められます。

初めて利用する動物病院について不安な点があれば、事前の電話確認をお奨めします

なぜ「鳥」や「爬虫類」を診る病院は少ないんですか?

鳥やエキゾチックアニマル(犬・猫・産業動物以外の動物の総称)を対象とする動物病院が少ないのは、学生時代に「獣医学で学ばない」というのが最大の理由です。

診療対象とする獣医は個人的に興味があり、①国家資格を取ってから独学で勉強する、②先に習得している獣医に付いて学ぶ、などのプロセスを選択しています。

鳥類の中でも「野鳥」は「鳥獣保護管理法」で取り扱いが厳しく決められているため、自治体に登録認可を受けた獣医しか診療できません

対象とする動物病院が少なく貴重な存在ですが、犬猫とその飼い主様のご来院もあるため、衛生面などへの「十分な配慮」が求められます

小さい動物病院より大きい動物病院のほうがいいですか?

建物の大きさや規模などは、中身(医療・対応)の良し悪しには全く関係ありません。

新築の病院は見た目も綺麗ですし、開業当初は獣医師自身や身内が直接応対するため、良い印象を持たれがちです。

また、駐車場や待合が多いという初見だけで「人気がある動物病院」と勘違いをされる方もいらっしゃるようです。

動物病院は飲食店や安売り店ではありません。大切な家族(愛玩動物)の生命や健康のための医療施設です。

本当に良い動物病院は「どれだけストレスなくスムーズな診療を受けられるか」ということも重要な要素になります。

最初に行った動物病院を変えても良いですか?

カルテがあると利便性は良いですが、飼い主様が自由に選択・変更していただいても構いません。

まずは飼い主様ご自身が、診療と運営両面で「信頼出来る、長く付き合える」獣医師・動物病院を見つけていただくことが、動物たちにとっても良いことだと思います。

表面的に優しい良い先生だと思っても、実際は飼い主様や動物たちのことをあまり考えていない獣医師・動物病院があります。

特に動物関連業者(保護団体・ブリーダー等)の提携割引などで利用された方は、 次のワクチンや予防接種などの機会に、ぜひ他の気になる動物病院のご利用をお奨めします

鹿児島には夜間専門とか24時間対応の動物病院がありますか?

現状、鹿児島市をはじめ周辺地域にも該当する動物病院はありません。

一般動物病院の多くが少人数運営であり、翌日の診療にも影響が出るため、長時間の診療体制が維持できません。

一部ですが、当院のように「かかりつけ」としてご登録されている飼い主様のみ、時間外でも可能な限り対応している動物病院があります。

また、時間帯と対象地域の制限はありますが、鹿大動物病院と鹿児島地区獣医師会が「夜間当番制」も展開しています。

できるだけ何も(体調が悪く)ない時に、飼い主様が信頼できる動物病院を見つけおくことが大切だと思います

普通の動物病院と大学の動物病院の違いはなんですか?

簡潔には、一般動物病院が「1次診療タイプ」、大学附属動物病院が「2次診療タイプ」と言えます。

一般動物病院は幅広く飼い主様と対象動物を受け入れ、大部分の診療内容に対応する動物病院が多いとお考え下さい。

一方、大学附属動物病院は、詳しい検査、人手や特殊な機材が必要な手術など、一般動物病院からの紹介・依頼を主に受け入れる専門性の高い動物病院となります。

双方同じような見方や誤った期待をせず、このような「立ち位置の違い」をあらかじめご理解下さい

先生やスタッフさんたちが着ているユニフォームの違いは?

特に決まり事は無く、各動物病院(院長等)が好みや目的別で採用(購入)しています。

種類・用途は様々ですが、定番の「白衣系」や、色やデザインを選べる「スクラブ系(術衣)」が多いです。

企業と同様に、白衣や制服の「選び方や使い方」を見るだけでも、院長の性格や運営に対する考え方がわかります

駐車場や待合がいつも混んでるのは良い病院だからですか?

個人動物病院の場合「混んでる=良い病院・人気の病院」というお考えは、その理由次第で意味が大きく違ってきます。

残念ながら、混むことが慢性化している動物病院は、共通して「①予約を受けていない・段取りが悪い・電話応答ができていない」ように見受けます。

また、外来診療以外に「②トリミング件数が多い場合」や「③保護団体・ブリーダー・ペットショップの割引提携」などが加わると、必然的に朝夕に来院が集中して、待合や駐車場が長時間滞留することになります。

(②③は獣医師の技量とは関係ありません。また③は双方が利害関係にあることから、純粋に保護活動とは言えません。)

今利用している動物病院に①~③の理由があれば、A.適正な診療が受けられないB.ミスや事故、トラブルが起きやすい、などが懸念されますので、逆に注意が必要です。

クチコミにある「名医です」とか「料金が良心的」は本当?

クチコミやレビューは「初めて行った時の印象」や「個人的な感想」が大部分であり、これだけで真偽を確かめることはできません。

特に「新しい動物病院」やトリミング・ワクチン接種など「簡易な内容でのご利用の場合」は、総じて評価が良い・クチコミ件数が多い傾向があります。

当然「複数の方が同じような内容を指摘している場合」や「具体的な表現を含む場合」は、かなり信憑性(しんぴょうせい)が高くなります。

獣医療に関しては、①個々に違いがある、②専門性が非常に高い、③先の診断があると絞りやすくなるため、一部の診断ミスを除き、獣医師以外の方が正しく評価することは難しいでしょう。

余談ですが、嘘のクチコミや偽投稿が多い・悪い評価を除外する有料掲載系レヴューサイトもありますので、参考の際は十分注意して下さい

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応用編

~ ただいま鋭意編集中 ~

ペットブームの本当

ブームの始まり

諸説ありますが、一般的には1980年(90年)頃~2010年頃の約20~30年間と言われています。

国内でも大都市と地方との時間差があるため、実際の体感的には「約20年間位」でしょう。

バブル期から一部で始まった「小型動物を家の中で飼う」ステータスが、バブル崩壊を経て急速に一般に広まったと思われます。

その結果、ペットに関係のある業種(ペット関連産業)が急速に拡大していきます。

「急速な市場の拡大」これこそが『ペットブーム』と呼ばれる所以(ゆえん)です。

急激な需要の拡大

時期を同じくして、小型動物医療の分野でも需要が急増したため、個人の動物病院が開業し始めます。

それまでの獣医業は、牛・馬・豚などの大動物(産業動物)や動物園・水族館が主な対象の「出張所属型」でした。

ブームによる需要拡大にいち早く着目した獣医師が、次々に小動物対象の「戸建て型」動物病院にシフトし始めます。

しかし、それでも動物病院の数が需要に追い付かないため、個人獣医業規模ではあっという間にパンク状態になります。

そこで2000年初頭に誕生したのが、動物看護師やトリマー、訓練士などを養成する「動物専門学校」でした。

これら人員と新卒勤務医を取り込み、動物病院が「組織化・肥大化」していきます。

ブームの光と闇

業態を巻き込んだ過去の「ブーム」は、その性質ゆえ、例外なく「光(良い点)」と「闇(悪い点)」を創り出しました。

短期間に多くの愛玩動物が誕生した裏で、扱う側の理解や考え方が未熟だったため、飼養に問題のある飼い主様や多頭飼育崩壊など負の側面も産み出します。

一方「小動物臨床」と呼ばれる小型動物医療は、ペットブームにより新しい分野として20~30年足らずで形成されました。

その裏では、すでに獣医だった者や開業獣医を目指す者の多くが「ペットブームの幻想」に翻弄されてしまいます。

開業直後から来院数急増(売上激増)=借入金完済・高額医療機器購入・勤務医や従業員を大量雇用・病院の移転拡大 etc.

「私は実力がある・才能がある」...負の錯覚=獣医師に「ペットブーム症候群」が蔓延。

ブームの終焉

ペットブームの勢いは、2010年前後から徐々に「陰り」を見せ始めます。

飼育数減少を理由にする論調もありますが、実際は「市場の熱が冷め始めたこと、ペット関連産業が利益追求の可能性に見切りをつけ始めたこと」が深く関係していると思われます。

最盛期には、テレビ・出版などメディア露出、ペット関連産業との連携など、動物病院単独では到底成し得ない要因(他力)によって繁盛病院や人気獣医師が「演出」されました。

またペットブーム時代は、動物病院にとって人材育成など無用の長物で、複数の動物専門学校(他力)から労せず人材が供給されました。

ところが、程なく人材育成の現場ではブームの終焉を象徴するかのように、学生数減少・就労能力低下が顕著になり始めます。

ここ鹿児島でも、2006年に始まった動物専門学校が、2017年わずか10年程で閉校になりました。

そして、ついには(他力)本願だった獣医師や動物病院の「実態(実力)が徐々に露呈し始める」ことになります。

「ペットブーム症候群問題」「人材不足・後継者問題」「組織基盤の脆弱問題」「獣医師の倫理観問題」...

ペットブーム終焉と思われる時期から約10年経ち、やっと「動物愛護法改正」や「動物看護師の国家資格化」など外堀の整備が始まりました。

間違いなく今後は、獣医師・動物病院が「医療と運営」両面で【何の力も借りない真の実力】だけを評価される時代になります。

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ネット検索の本当

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クチコミの本当

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混んでる病院の本当

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開業獣医の本当

出身大学

下の(偏差値)は、獣医学部・獣医学科を受験する学生を対象とした値であり、すべての学生を対象としたものではありません。

学業レベルを分かりやすく表現すると【中学校の試験は常に平均80点以上】【地域上位の進学高校(進学コース)で理数系トップクラス】となります。

ちなみに、鹿児島大学医学部の偏差値が65となっていますので、双璧をなす難関学部(学科)+狭き門であることが分かります。

国公立
(大学名)(定員)(所在地) (大学名 )(定員) (所在地 )
北海道大学(65)35北海道帯広畜産大学(60)40北海道
岩手大学(60)27岩手県東京大学(67.5)30東京都
東京農工大学(62.5)35東京都岐阜大学(60)30岐阜県
大阪府立大学(62.5)40大阪府鳥取大学(62.5)35鳥取県
山口大学(62.5)30山口県宮崎大学(62.5)30宮崎県
鹿児島大学(60)30鹿児島県

※()内は一般入試偏差値目安/定員は前期+後期(東大は3年~)

私立
(大学名)(定員)(所在地) (大学名 )(定員) (所在地 )
酪農学園大学(50)60北海道日本獣医生命科学大学(65)80東京都
日本大学(60)60神奈川県麻布大学(57.5)120神奈川県
北里大学(57.5)120神奈川県・青森県岡山理科大学(55)140愛媛県

※ ()内は一般入試偏差値目安

学費・その他

私大の場合、金額は近いですが明細が違うため、ここでは鹿児島大学(国立)と酪農学園大学(私立)を一例として比較します。

国公立は基本共通設定ですので、初年度納入金と授業料だけを見ると「私立は国公立より約3倍以上高い」ことが分かります。

その他の費用や仕送り(生活費)まで加味すれば、県外から私大獣医学部に6年間通うには、かなりの財力が必要です。

鹿児島大学(国立)酪農学園大学(私立)
初年度納入金額817,800円2,564,000円
入学時最小限納入金額1,469,000円
入学金282,000円300,000円
授業料(年間)535,800円×51,710,000円 ×5
施設費340,000円
実習費140,000円
諸会費74,000円

※各項目の金額は2022年度の予想金額

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看護師・トリマーの本当

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