Q&A
よくある動物病院の疑問
基本編
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保護活動とか専門医とかで有名な動物病院がいいのか?
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「○○で有名」などの言葉は「一般的な感想の積み重ね」で成り立っており、その真偽は常に流動的で不正確です。
そもそも獣医療には「技能・療法・経歴を広告してはいけない」などの広告制限もあります。
また院外活動に関しては、資格の特性上、獣医師会や自治体などを通して担当制で公式に行うケースが主体となります。
有料診療とボランティアの区別、特定の分野だけでなく幅広い技量など、1次診療は「院長の考え方」に左右されます。
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特殊な設備や治療法をしている動物病院の方がいいの?
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残念ですが、従業員が多かったり特殊な設備がある動物病院は「全体的に料金が高く設定される」傾向が見られます。
また、あまり普及していない治療や薬類は「未確定要素が多い割に単価が高い」という特徴があります。
それらの導入・取り扱いは主に院長が決めるのですが、最終的には「動物や飼い主様へ負担を強いる」形になってしまうのです。
あとで後悔をしないためにも、より的確な診断で無駄や危険を回避する視野の広い獣医を探しましょう。
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良い獣医師かどうかはどこを見れば分かりますか?
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獣医師の多くは「動物が好きなのか・獣医療が好きなのか」の割合で動物や飼い主様にとっての良し悪しが分かれます。
前者は「動物たちや飼い主様のため」、後者は「獣医療に興味がある自分のため」という根本的な方向性の違いがあるのです。
当然、前者の割合が大きいほうが良いわけですが、受診時に「初対面でも目を見て対話しているか」を見ると分かる場合もあります。
公務員や研究職から開業する転職獣医や若い獣医は、自己流に走ったりあいまいな診療になるケースをよく見かけます。
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愛玩動物看護師(国家資格)のレベルはどのくらい?
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第一回の試験は合格率が80%を超え、偏差値50以下でも合格できる難易度の低い国家資格になりました。
当分は実地が不十分なまま現職に就く者が多く「診療対象が練習材料にされる・事故やトラブルが増える」危険性があります。
愛玩動物看護師になったから、と安易にスタッフに採尿や採血などを任せる動物病院・獣医師には注意して下さい。
国家資格とは言え人格や適性まで保証するわけではないため、結局本人と雇用する病院次第で大きく差が出ます。
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動物病院に行く時は「電話予約」が必要ですか?
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動物病院には「受付に対する認識」に特徴や違いがあり、大きくは「ゆるゆる系」と「しっかり系」に分かれます。
ご予約を重視しない「ゆるゆる系」は、来院が集中しやすく診療前後で長時間待たされることが当たり前になっています。
主に対応レベルの低さが原因で来院が集中してしまうのに、人気があると勘違いしている獣医師や飼い主様が多いようです。
逆に管理ができている「しっかり系」は、一時的に集中しても対応がスムーズで余りストレスを感じないと思います。
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動物病院のネット(ウェブ)予約って便利ですか?
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ネットの予約システムを導入する狙いの裏には「電話対応の負担を減らすこと」があると思われます。
表面的には便利そうですが、実際は「対応能力の低さを補おうとした安易な対策」と言っても過言ではありません。
逆に、通常の来院対応にウェブ予約が加わってミスやトラブルが増え、利用者に迷惑をかけるケースも多いようです。
従業員教育や業務管理のレベルが低い動物病院に限って、人員が多かったりシステムや機械に頼る傾向があります。
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これから行く動物病院のことを調べる方法は?
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最初の頃は印象が良くても、少しずつ不信感や不安感を感じ始める飼い主様が結構いらっしゃるようです。
利用前はクチコミやホームページでしか確認できませんが、できれば「地域の経験豊富な飼い主様に聞くこと」をお薦めします。
またはご自身が複数の動物病院を利用して「獣医師・スタッフの対応などを比べてみる」ことが良いと思います。
クチコミやレビューは「人によって感じ方が違う」「投稿するのは極一部」という点を加味して総合的にご判断下さい。
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いつも駐車場や待合が混んでるのは人気があるから?
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正直な所「いつも混んでいる・待ち時間が長い」は、人気ではなく院長の考え方や対応能力の低さが原因だと思います。
いつも混んでいる動物病院は、従業員が複数いるのに待ち時間が長く、飼い主様が順番を気にする傾向があります。
主な理由は、①院長&従業員の運営・業務能力が低い、②トリミングで集客、③動物関連団体等の受入、などです。
①~③があると「適正診療が受けられない」「ミスや事故・トラブルが起きやすい」など嫌な思いをされることが多くなります。
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グーグルの「混雑する時間帯」は本当ですか?
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グーグルの「混雑する時間帯」グラフはスマホの位置情報を元に情報を集計したものです。
つまり、位置情報を有効にしているスマホを持った人が「どの位の時間、同じ場所に留まっていたか」を表しています。
混雑という文字を見ると「たくさんの人が集中している」というイメージを持ちますが実際は違います。
特に病院では、来院数の多さではなく「長時間待たされている人が多い場合」に混雑していると表示されやすくなります。
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動物病院の料金ってナゼ安かったり高かったりするの?
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日本の獣医業は「学術研究,専門・技術サービス業」に分類され、人間の医療(保険)制度とは全く関係ありません。
損保などのペット保険適用が無い場合、基本的には施術料・薬品代・機材使用料などを「実費」でご請求することになります。
また、難しい手術だったり特殊な医療機器(CT/MRI等)・特別な療法や薬品を使えば、それだけで単価が高額になります。
そのため数百円~十万円超の幅が出る結果になり、事前説明や情報が無いと飼い主様の感覚差が生じやすい傾向があります。
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先生やスタッフさんたちのユニフォームの違いは?
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特に決まり事は無く、各動物病院(院長等)で好みや目的別に数パターン採用(購入)しています。
種類・用途は様々ですが、定番の「白衣系」や色やデザインが豊富な「スクラブ(術衣)系」の組み合わせが多いようです。
単に院長の好みだけで選ぶのではなく、飼い主様が獣医師と従業員を区別できる配慮や院内の統一感も必要だと思います。
企業と同様に、白衣や制服の「選び方や使い分け」を見ると院長の性格や運営に対する姿勢がわかります。
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TNRって何の略でどんな意味ですか?
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TNRとは、Trap(トラップ:捕獲する)Neuter(ニューター:不妊手術する)Return(リターン:元に戻す)の頭文字をとった略語で、野良猫に対する愛護活動の一つです。
賛同する動物愛護(保護)団体や個人、および一部の動物病院・獣医師が避妊・去勢手術等を通じて活動しています。
ただし非常に問題点やトラブルも多く、偏った考え方や利己的な思いが暴走する材料になってしまう傾向(恐れ)があります。
動物の命や動物との共生に対する考え方の変化から、今後は個人や団体、獣医師の倫理的・社会的責任が問われるでしょう。
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SNSで情報発信したりウェブ広告を出すのはOK?
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前提として、獣医師は「獣医療法の広告制限や獣医療広告ガイドライン」を遵守しなければなりません。
その中には「一般の人が認知でき、病院名・獣医師名が分かる状態で治療法や技能を紹介できない」とあります。
特に最近はホームページより手軽なSNSや動画媒体を主体に情報発信しているケースを多く見かけます。
しかし、手術画像や治療法を投稿したり誰でもフォロー(バック)する行為は制限事項の一部に触れることになります。
※特定の目的で閲覧される自院HPや直接獣医療に結び付かない投稿は違反にはなりません。
※当ページは当院獣医療従事者の経験・調査に基づく個人的見解で編集しています。
クチコミコメントの見方
ネット上の動物病院や獣医師に関するクチコミには、大きく3つのパターンがあります。
パターン1
最も多いのが「初見(初めてor軽い内容で利用した)時の感想や印象」です。
実際、近所に新しい動物病院ができたから、夜間当番だったので、など初めて利用された時の感想が割と多く見られます。
その他、トリミング・ワクチンなどで利用した方や初めて利用した方なども含めて、初見コメントが大部分を占めています。
結果的に、動物病院の実態や獣医師の人間性など細かいところまで把握できていない方が多いということもできます。
これらのことから、件数が多くても良い評価があっても「コメントだけでは一概に判断できない」と言えるのです。
パターン2
2番目に多いのがペットの体調不良やケガ、手術などで「(何回か)診療を受けた(利用した)上での感想」です。
中でも「名医です」など技量に関する内容は信憑性に欠けるため、あくまでも一般の方の目線・感じ方程度に考えて下さい。
また「料金が良心的」という内容も「どんな明細を何処と比較しているか」全く不透明なため、一概に期待してはいけません。
逆に「悪い感想」には、実際に経験した具体的な内容や、獣医・スタッフの言動までを細かく表現しているものが多いと思います。
中には説明不足による事実誤認、単なるクレームや身勝手な内容もありますが、そもそも『動物病院側にも原因がある』という見方もできます。
パターン3
ネット上のコメントは上のパターンがほとんどですが、厄介なのが「嘘コメント」「間違いコメント」「ご祝儀コメント」です。
「嘘コメント」が多いのは『動物病院まとめ系サイト』で、実際に利用したことが無い人が投稿しているケースがあります。
また、任意にアンケートを書かされたり、表示回数が評価点になったり、悪いコメントが削除されたりする「滅茶苦茶な基準のサイト」も普通に検索上位で表示されています。
フェイスブックに至っては「利用したことが無い」人まで高評価を付けられるため、評価数が多すぎる場合は注意して下さい。
他には病院を間違って投稿された「間違いコメント」、開業に携わった関係者・内覧会参加者・友人などの「ご祝儀コメント」が紛れ込んでいます。
①グーグルレビューの【件数】を見る
極端にレビュー件数が多いところには要注意!
グーグルのレビュー件数は、通常「開業~5年目位まで」は数件~30件前後、「5年以上」は大体20~50件程度が標準的だと思います。
件数が他より極端に多いところは、①開業年数が長い(院長が高齢/親子2世代継承)、②ペットブーム中に開業した、などが考えられます。
また開業年数が少ない割に他より多いところは、①トリマーが独自に集客、②動物関連団体や業者との提携、③対象動物が多いなどが理由です。
高評価しかないから・件数が多いから良い動物病院というわけではないため、ご近所の評判や実際に利用してから判断しましょう。
②グーグルレビューの【内容】を見る
星2つ以下の悪い評価の有無・内容をみて判断!
グーグルのレビューには5段階の星の数とコメントが付きますが、注目して欲しいのは「星2つ以下の数やコメント内容」です。
いくら星5つがたくさんあっても、星2つ以下の「具体的で悪い評価コメント」の方が「実態の側面」を示唆しているように思います。
比較的新しいところは「良い評価とコメント」が先行しがちですが、実際には「運営・獣医療すべての経験値が浅い」という点も忘れてはいけません。
クチコミを見る時は、高評価コメントや星5つの数を見るより「星2つ以下の具体的なコメント」の有無・内容を確認しましょう。
③ホームページの【更新頻度】を見る
ホームページの有無・情報量・更新頻度で選ぶ!
ホームページ(以下、HP)やSNSは、動物病院のことを利用する皆様に知っていただくための重要な「情報発信ツール」です。
今の時代、情報が古い・少ないなど「有効利用されていない」HPやSNSは「自己満足・利用者軽視」の証拠とも言えます。
中には自院HPよりSNS中心に情報発信、ネット広告乱発、手術画像を投稿、など「広告ガイドライン」に抵触しそうな倫理観の低い獣医師もいます。
自院HPやSNS、ウェブサービスなどの使い方には、院長(経営者)の性格や運営に対する考えを反映していると言っても過言ではありません。
※オリジナルの自院HP(独自ドメイン)や病院紹介専門サイトは違反にはなりません。
※GoogleやYahooなどの検索順位(結果)は動物病院の人気・信頼度とは直接関係ありません。
クチコミポイントの見方
グーグルレビューは【4.5点】が分かれ目になる!
グーグルのレビュー(以下、Gレビュー)ポイントは「評価点の平均」で算出されます。
そのため当然高い点数だけなら総合評価が高くなりますが、中に低い点数(3点以下)があれば総合評価が下がります。
その他のクチコミサイトの点数は「閲覧が多いか少ないか」や「有料会員かどうか」による例もあり、実際のところ信用できません。
Gレビュー件数(分母)が多い少ないにもよりますので、3点以下の存在が総合評価を大きく左右するのです。
ちなみに、Gレビュー件数(分母)が少なく高得点しかない場合は、高点数でも「累計利用者が少ない」と推察することができます。
総合的にレビューが20件以上ある動物病院の場合、『総合評価4.5点』が「分かれ目(分岐点)」になると言えるでしょう。
Gレビューは「減点法」のため3点以下の数が総合評価を左右し、多少5点が増えても総合評価点はあまり変わらない仕組みなのです。
件数が20件以上ある場合に限定すると『4.5点』以上は【良い~普通】、『4.5点未満』は【まあまあ~問題あり】という表現もできます。
評価5点の中にも「まだ獣医師・動物病院の本質に気付いてないんだろうなあ」とその後が心配なレビューも結構見かけます。
すべての利用者が点数を付けているわけではないため、良くも悪くもGレビューの点数だけで判断することはあまりおススメできません。
混雑時間グラフの見方
グーグルの混雑時間グラフは当てにならない?
結論から言うと【グーグルの「混雑する時間帯」グラフ】は、ほぼ当てになりません。
実際、当院でも駐車場・待合とも一杯で駐車場に入れない車が路肩に並んでいても「混んでいません」と表示されていることが何度かありました。
前提条件として「スマホ内のGoogleロケーション履歴設定を有効にしている」必要があります。(基本的には無効状態)
その「ロケーション履歴」データを「数週間おきに収集」し、15分きざみで機械的に集計・比較されるものらしいです。
「リアルタイム表示」は理論上、今までの集計結果を元に最新データと比較したものなので、本当に「リアルタイム」と呼んでいいのか疑問です。
機械的な集計処理のため、表示の遅延や間違った処理(店舗が密集している、渋滞しやすい通りに面している等)をすることもあるようです。
※「リアルタイム表示が出やすい=スマホを持った人が頻繁に出入りしている」ことは事実です。
動物病院の場合、待合や駐車場の広さ(収容能力)、スタッフのスキル(対応能力)に違いや差があるため、混み具合の根本的な意味が違ってきます。
スマホの設定有効化、集計の時間差などから実際と違うケースが多くなり、動物病院のように絶対数が少ない業種だと極めて信憑性に欠ける結果になるわけです。
さらには飲食店などと違い「混んでる動物病院が本当に良いのか」という『業種的な見方の違い』も考えなければいけません。
応用編
~ ただいま鋭意編集中 ~
ペットブームの本当
ブームの始まり
人によって見方の違いはありますが、一般的には1980年(90年)頃~2010年頃の約20~30年間と言われています。
国内でも大都市と地方との時間差があるため「実質20年間程度」と思われます。
バブル期から一部で始まった「小型動物を家の中で飼う」ステータスが、バブル崩壊後、一般家庭に伝播したと考えられます。
その結果、ペット・動物に関係のある業種(ペット関連産業)が急成長・急拡大していきます。
「急速な市場の拡大」これこそが『ペットブーム』と呼ばれる所以(ゆえん)です。
急激な需要の拡大
ペットブームの高まりに呼応して、小型動物医療の分野でも診療の需要が急増し、個人の動物病院が増え始めます。
今ある個人動物病院のほとんどが、この『ペットブーム』によって作り出されたと言っても過言ではありません。
それまでの獣医業は、牛・馬・豚などの大動物(産業動物)や動物園・水族館が主な対象の「出張・所属型」が主流でした。
程なくブームによる需要拡大に着目した獣医師たちが、次々に小動物対象の「個人・独立型」動物病院へシフトし始めます。
この時期よりブームの後押しにより、開業すれば「誰でも」来院数や売り上げが急増し、すぐに人手不足に陥るほど隆盛を極めます。
この状況に対処すべく急ピッチで作られたのが、看護師やトリマー、訓練士などを養成する「動物専門学校」です。
人材供給の拡充により、獣医療だけでなく「トリミング・ペットホテル」等も導入され、動物病院の集客に拍車がかかりました。
純粋に自分たちの実力ではなくブームで繁盛しているのに、勘違いをする獣医(ペットブーム症候群獣医)が増殖し始めます。
このようにして動物病院の未熟な基盤が出来上がり、次の世代まで引き継がれ一般化・組織化されていきました。
ブームの光と闇
業態を巻き込んだ過去の様々な「〇〇ブーム」には、その性質ゆえ、例外なく「光(良い面)」と「闇(悪い面)」が存在します。
短期間に多くの愛玩動物が誕生した一方、扱う側の理解や考え方が未熟だったため、多頭飼育崩壊・動物虐待など「負の側面」を産み出しました。
現在の「小型動物医療」の分野もペットブームで脚光を浴びてから、実質20~30年程度の短期間で形成されました。
この急速な展開により、すでに獣医だった者や臨床獣医を目指す者の多くが「ペットブームの幻想」に翻弄されてしまいます。
個人で開業すれば短期間で来院数&売上が急増=(短期完済・高額機器導入・大量雇用・大型化 etc.)=自惚れ・おごり・慢心。
同時に動物専門学校も簡単に入れて安易に就職できる体制が「低レベルな専門職を求める人材」を輩出するようになっていきます。
「(獣医)私は実力がある、成功者だ、勝ち組だ、」「(学生)成績悪くても入れる、楽に就職できる、人は苦手だけど動物なら、」
...こうして、獣医療の現場に「ペットブーム症候群」が蔓延してしまいました。
ブームの終焉
1980年代から火の付いたペットブームの勢いは、2010年頃から徐々に「陰り」を見せ始めます。
飼育数減少も理由の一つですが、実際は「市場の熱が冷めた事、動物病院やペット関連産業が増えて飽和状態に陥った事」が関係していると思います。
最盛期にはテレビ・出版などメディア露出、ペット関連産業との連携など、動物病院単独では到底成し得ない要因【他力】によって繁盛病院や人気獣医師が「演出」されました。
同様に動物専門学校【他力】からも労せず人材が供給されたため、病院経営や人材育成に対する院長獣医の「無関心・無頓着」な姿勢が根付きました。
しかし、程なくメディア媒体【他力】の関心離れや露出減少とともに、動物専門学校の「学生数減少・能力や資質の低下」が顕著になり始めます。
(ここ鹿児島でも2006年に開校した動物専門学校が、2017年わずか10年程で閉校になりました。)
さらにブーム衰退に足並みを揃えるように、ペット関連産業【他力】や動物保護団体【他力】の「動物病院へのぶら下がり」も規模が縮小されます。
そして、ついに【他力】本願だった獣医師・動物病院の「運営の実態や実力」「認識や考えの甘さ」が、次々に表面化していくことになります。
「ペットブーム症候群問題」「人材不足・後継者問題」「組織基盤の脆弱問題」「獣医師の倫理観問題」...
過去からの脱却
ブーム終焉から約10年程度経過し、世間では徐々に「幻想」から覚める人が増え、現実に向き合う志向に変化してきました。
それを象徴するように「メディアによる動物愛護・保護活動への傾注」「動物愛護法改正」「愛玩動物看護師国家資格化」など、あるべき方向への整備改修が始まっています。
ブーム初期こそ手術数や研究発表に囚われた「権威主義」が持て囃されましたが、今では世間のニーズも無くなり、すっかり影を潜めたように感じます。
しかし未だに多くの獣医師には、長い間「独善的な立場・閉鎖的な職場」にいるせいか、世の中の変化や周囲の声に「目を向けない、耳を傾けない、自分を省みない」傾向があります。
残念ですが、今でも「ペットブーム時代の間違った考え方のままの自分本位な(ペットブーム症候群)獣医」がまだまだ現場に蔓延っているのです。
『自己満足だけの本質を無視した獣医師・動物病院でいるか』『真摯な姿勢で本質を重視する獣医師・動物病院になるか』
...これから動物病院が果たすべき社会的役割を認識し、地に足の着いた運営を受容していけるか、もうすでに世の中から試され始めています。
開業獣医の本当
出身大学
下の(偏差値)は、獣医学部・獣医学科を受験する学生を対象とした値であり、すべての学生を対象としたものではありません。
学業レベルを分かりやすく表現すると【中学校の試験は常に平均80点以上】【地域上位の進学高校(進学コース)で理数系トップクラス】となります。
ちなみに、鹿児島大学医学部の偏差値が65となっていますので、双璧をなす難関学部(学科)+狭き門であることが分かります。
国公立
(大学名) | (定員) | (所在地) | (大学名 ) | (定員) | (所在地 ) |
北海道大学(65) | 35 | 北海道 | 帯広畜産大学(60) | 40 | 北海道 |
岩手大学(60) | 27 | 岩手県 | 東京大学(67.5) | 30 | 東京都 |
東京農工大学(62.5) | 35 | 東京都 | 岐阜大学(60) | 30 | 岐阜県 |
大阪府立大学(62.5) | 40 | 大阪府 | 鳥取大学(62.5) | 35 | 鳥取県 |
山口大学(62.5) | 30 | 山口県 | 宮崎大学(62.5) | 30 | 宮崎県 |
鹿児島大学(60) | 30 | 鹿児島県 |
※()内は一般入試偏差値目安/定員は前期+後期(東大は3年~)
私立
(大学名) | (定員) | (所在地) | (大学名 ) | (定員) | (所在地 ) |
酪農学園大学(50) | 60 | 北海道 | 日本獣医生命科学大学(65) | 80 | 東京都 |
日本大学(60) | 60 | 神奈川県 | 麻布大学(57.5) | 120 | 神奈川県 |
北里大学(57.5) | 120 | 神奈川県・青森県 | 岡山理科大学(55) | 140 | 愛媛県 |
※ ()内は一般入試偏差値目安
学費・その他
私大の場合、金額は近いですが明細が違うため、ここでは鹿児島大学(国立)と酪農学園大学(私立)を一例として比較します。
国公立は基本共通設定ですので、初年度納入金と授業料だけを見ると「私立は国公立より約3倍以上高い」ことが分かります。
その他の費用や仕送り(生活費)まで加味すれば、県外から私大獣医学部に6年間通うには、かなりの財力が必要です。
鹿児島大学(国立) | 酪農学園大学(私立) | |
初年度納入金額 | 817,800円 | 2,564,000円 |
入学時最小限納入金額 | - | 1,469,000円 |
入学金 | 282,000円 | 300,000円 |
授業料(年間) | 535,800円×5 | 1,710,000円 ×5 |
施設費 | - | 340,000円 |
実習費 | - | 140,000円 |
諸会費 | - | 74,000円 |
※各項目の金額は2022年度の予想金額